秋。私は静電気の彼と、再会を果たすことになる。

 大学の後期のカリキュラムが始まった。

 火曜日の二限にある、環境科学という一般教養の講義を、私は受講していた。

 一限がなかったため、少し早めに教室に到着し、窓際の真ん中あたりの席を確保していた。今日の講義が初回だったので、印刷してきたシラバスを念入りに読む。

 最低限出席してレポートを出せば単位が取れるような、学生に人気の講義とは違い、最後に実施されるテストが成績に大きく影響するという評価基準。

 どうやらなかなか厳しめのようだ。興味本位でとった講義で、今のところ過去問などの情報もない。大丈夫だろうか。まあ、落としたら落としたで、別にいいかな。

 私がシラバスを眺めながらそんなことを考えていると、
「ここ、空いてます?」
 斜め後ろ上方から声を掛けられた。

「あ、はい」
 見上げて、心臓が止まるかと思った。

「僕の顔に何かついてますか?」
「あ、いえ。なんでもないです」

 全然なんでもなくない。初めて見たときよりも強めの静電気が、体に流れた。

「じゃあ、お邪魔します」
 双子かドッペルゲンガーでなければ、微笑んで私の隣に座ったのは、もう接点なんてないと思っていた彼だった。

 教授を待つ間も、教授が来て講義の説明をしているときも、私の心臓はバクバクと音を立てて激しく脈打っていた。

 講義が実際に始まったころにはある程度落ち着いていたけれど、それなりにそわそわしていた。