心護の意見を私は首を横に振って否定して、それから『IBS』よりも先に『(どん)()(しょう)』という病気を発症していたという事実を打ち明けた。
 中三の夏頃から通い始めた塾の授業中に、喉の音(グーッ、ゲーッという低音)が頻繁に鳴るようになって、帰宅してからトイレで嘔吐した。それでも病気──『呑気症』だとは気づかずに放置した結果『IBS』まで併症したと考えられる。
「……まだ学校の授業で習ってない、家で予習してきた問題を塾の先生に当てられるのがスゴく嫌だった……」
 教師から当てられるストレスやみんなの前で間違えたらどうしようという不安、それらが蓄積したのが原因で『呑気症』と『IBS』を発症したと捉えている。
「このまま一生治らないかもしれないって思ったら……死にたくなった……っ」
 ヨーグルトや整腸剤、ガスだまり改善薬、漢方は悉く効かなかった。自宅近くの病院に行っても、医者は笑いながら『気にするな』という一言だけを与えて薬は与えなかった。最終手段としてネットで購入した消臭パンツすらあまり効果がなくて落胆する。
 これから先もずっと、完治しづらいうえに他人に大きな迷惑をかける病気を抱えたまま生きなければいけない──。私は心の底から絶望して中三の十二月頃から『死にたい』と願うようになった。
「……もうこれ以上……自分が(くさ)いせいで……みんなに迷惑かけたくないから……今すぐ死にたい……」
 私は涙を流しながら鼻を啜りながら、醜い本音を吐露した。
「俺は死んで欲しくない」