”───夜長の候、めっきり秋を感じる季節ですね。お元気で安心しました。内浜亮”
メッセージカードに記した言葉。
金木犀の花束はミチさんに託して、すぐに店を後にしたからあの後何が起こったのかは知らない。
けれど、俺が今も野球をやってることを教えたのだろう。そして名前を見て驚いたのだろう。
『あのっ、』
血相を変えた君は、手荷物を置いたまま店の外の路地まで駆けてきたのだ。
『頑張って、ください。』
君は変わらず端麗な赤いドレスを着ていたけれど、アイメイクが落ちていて少し頼りない少女のような表情をしていた。
そして、微笑んだのだ。