「俺の名前、」
自分の名前を書くその手が同じくらい震えた。
何度も報道されて、期待されて、最後まで呼ばれることのなかった、内浜亮という名前。
" 選ばれなかった人はこうやってぶつかって諦めていくんだから、悔しいの分かるもん。選ばれた人もきちんとぶつかって一回頑張れ "
昔も今もまっすぐな君の瞳が言葉が、優柔不断な俺に問いかける。
俺だって夢を終わらせたくない。でも君の言う通り一度ぶつかるべきだったんだ。
「───っ悔しい、」
悔しかった。悔しかった。悔しかった。
同情なんていらない。ただ、誰かにお前なら絶対大丈夫だって肯定してほしかったんだ。ぼたぼた流れる涙と嗚咽が止まらなかった。色とりどりの花に囲まれて、死と天国を錯覚するような場所で、狭い花屋のレジで俺は震える手のひらに力を込めた。
「……絶対、見返す。スカウトの奴ら。
っ勿体ないことをしたって、思わせてやるっ……!!」