「!」

「あ……」

 突然、振り向いた律と目が合った。

「ごめんなさいっ」

「……いや」

「……」

 いつも無表情でクールな律が見せた涙に、私の心はいっぱいになった。

 そして……。

「まさか見られるなんて」

 そう言った律の笑顔は、私の特別なものになっていった。