少し早く家を出て、駅までの道をゆっくり歩く。この住宅街にいた猫たちの顔ぶれも少しずつ変わって、始めは馴れなかった猫たちも最近は「おはよう」と声をかければ寄ってきてくれるようになった。

 ピロン。

 ピロン。

 立て続けに鳴ったメールの着信音に、ポケットからスマホを取り出した。見るとハルカからの「おはよう」のメッセージ。そのメールを確認している間も、次から次へとメールの着信音が続いていた。

「なに?」

 メールを確かめてみると、猫サークルの仲間から「おはよう」「おはよう。起きてる?」というメッセージが送られてきていた。

 それは確認するのも追いつかないくらいの驚くほどの数が、同じ時間に幾つも、幾つも、送られてきていた。

「おはよう」

「おはよう」

「美耶おはよう」

「起きてるー?」

「おはよー」


 たくさんの「おはよう」のメッセージだった。