「社会人になって間もないし、今は忙しいって感じなんでしょ?」

「うん、まぁね」

「まだ、律先輩が居たころ、律先輩いつも美耶のこと気にしてたんだよ」

「え?」

 ハルカの言葉に驚き、歩く足を止め、振り向いた。


「何それ。初めて聞いたんだけど」

「そう? サークルのみんなは知ってるよ」

「!? サークルのみんな!?」

「美耶は朝が苦手で起きられないことも、講義中いつも眠っていることも、雨の日は元気がないことも、律先輩はいつも、いつも気にしてたんだよ」

「……」

「いつくっつくかねって、2人のことを、みんな微笑ましく見てたんだから」

「……」

 そんなこと……何も知らなかった。