「どうしたんだろう?」

 焦る気持ちを抑えるように、私はゆっくりとインターホンを押した。

 二度目のボタンを押そうとした時、「はい」と低い声が聞こえた。

「律!?」

「……美耶?」

「どうしたの? 大丈夫?」

「……寝てた。ごめん。……ゴホッ……」

「律!? どうしたの? 体調悪いの!?」

 扉の中と外、姿が見えないことが、こんなにももどかしい……。