相変わらず日中のメールには返事がない律。それでも仕事が落ち着けば返信してくれたし、仕事終わりには必ず連絡をくれた。
朝の「おはよう」と、帰りの「ただいま」。それだけで、不安が嘘のように吹っ飛んだ。
部屋の時計を見ると、もうすぐ23時になろうとしていた。
どんなに遅くてもこの時間には返事をくれるのに、今日はない。ただ、それだけで落ち着かなくなってしまう。
何度も何度も見上げる時計は、進んでほしくないという気持ちとはうらはらに、秒針を刻む音が早く聴こえた。
私はロングのカーディガンを羽織ると、家を飛び出した。居てもたってもいられなかった。
律のアパートまで、歩いて15分、小走りにいつも駅へ向かう道を進んだ。
スマホにはまだ、律からの返信はない。