いつもより早く降り立った最寄りの駅は、やわらかいオレンジ色に包まれていた。

 長い影を追いかけるように進む道には、朝も会った猫たちが集まって、まるで何か話をしているみたい。いつもはもっと帰りが遅くて真っ暗だから、猫たちがこんなに集まっているのを見るのも朝くらいしかなかった。

「みんな、ただいま」

 私は朝と同じように猫たちに囲まれ、その場にしゃがみ込んだ。

「美耶」

 その声に驚き立ち上がると、猫たちも驚いたように走って姿を隠した。

「律!」

 私は無意識に律へ飛び込んだ。