「律先輩、ちょっと元気ない?」

 電車を見つめる私にハルカが声をかけて来た。

「……うん、ちょっとね。仕事、大変みたい」

「そっか」

「まだ、仕事に慣れないって言ってた」

 入社してまだ1ヶ月。仕事中はメールも返ってこないし、日に日に帰りが遅くなる律に不安は募っていた。

 休日も最近は疲れ果てていて、そんな律を見ると、会うこともためらわれた。

「美耶もさ、朝苦手なのに毎日頑張ってるよね。律先輩と同じ時間の電車に乗るんだって、さ」

「……うん」

 そうしなければ、律に会えない。

 会いたくて、会いたくて……。

 でも、今は無理させたくないから、せめて朝の時間だけでも一緒にいたい。