駅に入ってくる電車の起こす風に長い髪がふわりとなびく。
サークルの後輩と話す律の笑顔はどことなく寂しげで、一足早く社会人になって、猫サークルの活動に参加出来ないことも、その寂しさの一つなのかもしれない。
「律先輩、今度またサークルにも顔を出してくださいよ」
「そうだな。仕事が落ち着いたら覗きに行くよ」
笑顔で答える律の顔が少し悲しく見えた。
「じゃあね律。また後でメールする」
「ああ」
「仕事、頑張ってね」
「サンキュ」
私たちは律を残し、大学のある駅で電車を降りた。
見送った電車の中、いつもなら手を振る律の姿が、今日は乗客の多さで見えなくなった。
なんとなく、寂しい……。