「現代で働くには、現代にあった装いをせねばなりません」
「なるほど、道理だ。幕末の新選組に現代の服装をしている者が面接に来たなら、門前払いだろうからな」
土方さんは納得し、深く頷いた。
「面接に受かれば、ここに住み込みで働くことができるということだな。俺はなにをすればいい。用心棒か」
「いえ、基本は寮の管理・運営なので……いわゆる下働きです」
「賄方や小荷駄方ってところか」
言葉の意味がよくわからなかったので、スマホでさっと調べた。新選組で言う「賄方」は調理係、「小荷駄方」は荷物運搬係だったらしい。
副長をやっていた人には、少々物足りない……というか、はっきり言って不服なのだろう。土方さんの眉間に深い皺が寄る。
「仕方ねえ。俺はここで一番の下っ端だからな。なんだってやるしかねえだろ」
淡々と話しているように見えるが、やけっぱちに聞こえないこともない。駄々をこねないだけ立派だ。
彼が朝食を食べ終わったあと、私は彼のポニーテールをくるくる巻いてお団子にし、頭頂部にピンで固定した。上からニット帽を被れば、不審者臭が少し和らぐ。
「じゃあ、行ってきます」
「気をつけてなあ」