しかしそうなると本当に見当がつかない。
わざわざ匿名で通してくる辺り、もしや名を聞いたら驚いてしまうような大物だったりするのだろうか。
いや、だが山峰の言う通り、もしも相手が天利の友人としての誼みだけで贈ってくれたものなら、それこそ真宵が知らない可能性だってある。
「ええと、じゃあこれって御守りの力があるんですか?」
「んー、どうだろうなあ。鉱石に妖力が混ざりこんで変化したもんだとか、かくりよの永遠桜の影響を受けて生まれたもんだとか……まあ諸説あるが、その真相は未だにわかっていないんさ。でもま、そんな神秘からすれば確かに御守りっちゅうのも、あながち間違いではないんでねえか?」
「うぅん……なるほど……」
真宵は呟くように返して頭を悩ませた。
相手が匿名である限り、こちらからお礼を言うことも出来ない。
どうしたものやらと見つめていると、山峰がけらけらと可笑しそうに笑った。
「なァに、そんなに深刻に受け止めなくとも貰えるもんは貰っときゃあいい。神からの贈り物なんざ、特にな。そんだけで御守りになるってもんだ」
はあ、と真宵は戸惑いながら頷く。
さらりと相手が『神』であることが分かって幾分かほっとした。
これが名も知らない妖怪からだったら、最悪一生お礼が言えないところだった。神であるなら、もしかしたらどこかで相見える機会があるかもしれない。
「だから、んなところに仕舞っとかずに常日頃から身につけとくと良いだに。こういうのは身に着ければ身に着けるほど力を増す。きっと良いご利益があるさね」
「わかりました。せっかく頂いたものですし……」
言われるがまま箱から取り出し腕に通すと、ちょうど山峰の背後から差し込んだ西陽が反射して、鉱麗珠が黄昏色に染まった。
思わず感嘆の息が漏れる。