色白によく似合う、襟足まで伸びた縹色の髪。品がありながらどこか色気を感じる顔立ち。
痩身なのも相まって全体的にスマートな印象がある。
瞳は彼らしい優しい鶯色だが、なにぶん結膜が黒いので、外見の印象はやや怖めだろうか。
口調のおかげでだいぶ薄れてはいるが、意外にも本人は白目がないことを気にしており、せめてもの抵抗で細い銀縁のメガネをかけている。
「そう考えると、神様はあんまり種族的な傾向ってないよね。大きい人もいれば小さい人もいるし、そもそも人型じゃなかったりもするし」
「神々の姿は信仰イメージに寄りますからね。まあ主のようにどちらの姿も取れる神々もいますから、一概にどうとは言えませんが」
冴霧の姿を思い浮かべる。
つまり、あのとんでもなく神秘的な姿が信仰イメージなのか。なるほど、確かに龍神様らしくはあるけれど。
(……中身は伴わないってことね)
義母の天利にしても見た目で判断してはならないという言葉がぴったりなので、真宵はひとり納得した。
彼女は外見こそ天女だが、中身はただの女番長だった。
「それでいったいなにが……あぁ、ありがとうございます。コン汰くん」
「白火ですうっ!」
未だにおろおろと落ち着かない様子で、しかしご丁寧にも客人へのお茶を用意していたらしい白火がトテトテと盆を抱えて戻ってくる。
憤慨しているが、ちっとも怖くない。
湯気の立つ湯飲みを受け取りながら、蒼爾が「おやおや」と笑みを深めてすっとぼけた。
「コンちゃん、出来る子やなあ。えらいえらい」
「だから白火ですってばあ! 子ども扱いもやめてくださいっ!」
こんな小さい子をからかって楽しいのかと呆れた視線を投げれば、二人は同じ顔で満足げに笑っていた。
(怪の本性が出てる……)
基本的には優しい鬼たちだが、時折びっくりするほど悪戯っ子なのだ。