「そんなこと言う真宵さまなんか、キライですっ!!」

 おや、嫌われてしまった。もう何度聞いたセリフかわからないけど。

 おまんじゅうみたい、なんてこの期に及んで失礼極まりないことを考えながら、真宵は苦笑する。これが世に言う、親の心子知らずというやつか。

 こんな感じだからこそ心配になるのだが、本人にはまだ伝わらないらしい。

明日機嫌が直っていることを願いながら、真宵はひとり布団を被り直す。

 いくら神使とはいえ、内面六歳の子狐の安泰した今後を考えれば、やはり信用出来る相手に頼むしかないだろう。さすがに千年ひとりにはしておけない。

 しかしそうなると、必然的に冴霧とも会わなければならなくなってしまう。

 この旨を伝えたら彼はなんと言うだろう。またろくでもねえとため息交じりに呆れられるか、もしかしたらそろそろ諦めるかもしれない。

 そう考えながら真宵は目を瞑る。

 誘われるように夢の世界へと沈んでいく最中、腕の中にもふもふが潜りこんできたような気がした。