「任せておけ。のちのちお代はしっかり頂くがな」

「はっ、現金なヤツめ」

 冴霧は真宵を腕に抱いたまま立ち上がる。

 至近距離で見つめあいながら、真宵と手を重ねた。

 契りを交わす際には、どこかしら相手に触れている必要があるのだ。

 互いに底をつきかけた僅かな力を混ぜ込むと、胸の奥がじわりと温もりを抱いた。

 翡翠が手助けするように放った神力が、黄金の糸となって冴霧と真宵を包み込む。

 演出が派手なのはどっちだ、と冴霧は心の中で苦笑した。



「病める時も健やかなる時も、己の全てを持って真宵を愛し抜くとここに誓う」



 大丈夫だとそう伝えてくるように、握った真宵の手にほんの少し力が籠る。


「私も、誓います」


「ならばここに──永遠の契りを」


 刹那、ふたりはさらに強い光に包まれた。


 混ざり合い、溶け合って、繋がっていく。


 二度と縺れず、解けないように、世界でたったひとつの縁をここに結ぼう。




「……愛してる」


 そうして、冴霧は真宵へこの世のなによりも優しい口付けを落とした。