広場の一角には、大きなツリーが立っています。
 白い花と、赤・青・黄色の木の実をまとって、キラキラ光っていました。

 広場の一辺に、テーブルがいくつも並んでいます。
 あるテーブルには、野菜がゴロゴロ入った温かいシチューがあります。
 あるテーブルには、ベリーをたっぷり挟んだふわふわのケーキがあります。
 動物達は、好きな料理を食べて、そのおいしさに思わずほほを押さえました。

 その反対側には、ステージがあります。
 次の演目の準備をしているので、幕が下りていました。

 あるウサギは、とっておきのチョッキを着て来ていました。
 あるキツネは、お気に入りの髪飾りをつけて来ていました。
 みんながオシャレをして、ツリーに負けずに輝いています。
 今日は、冬のパーティでした。
 森中の動物が参加して、楽しんでいます。

 カランタラン、とハンドベルが鳴って、ステージの幕が上がります。
 みんなが、パチパチと手をたたきました。

 ステージの上には、サングラスをかけた動物が四人。
 「パパー!」と小さな男の子の声がしました。
 真ん中にいたモグラが、その声の方へ手を振りました。

 ***

 さて、そのステージの裏に、子どもが14人集まっています。

 ドングリのボタンのついた、おそろいの赤いポンチョを着て、身を寄せていました。
 ぷるぷると震えているのは、寒さのせいではありません。
 このポンチョは、暖かいのです。

 緑のベストを着たキツネ先生は、子ども達の様子を見て、苦笑をこぼしました。

 そこに、白い帽子を被った大きな影と、小さな影が近づいて来ました。
 後ろから、ちょっと小さな影もついて来ます。

 大きな影は、クロクマでした。
 カップのたくさんのったお盆を持っています。
 ちょっと小さな影は、白ウサギでした。
 クロクマの後ろに隠れて、ちらっと顔をのぞかせます。
 小さな影は、キタリスでした。
 子ども達の前に立ち、声をかけます。

「ハチミツがダメなやつはいるか?」

 子ども達はみんな、首を横に振りました。

「ミルクがダメなやつはいるか?」

 子ども達はみんな、首を横に振りました。
 それを見て、キタリスは、ふむふむとうなずきました。

「差し入れだ。あったまるぞ。」

 キタリスがそう言うと、クロクマと白ウサギは、子ども達にカップを配りました。
 白ウサギが、キツネ先生にもカップを渡します。

 カップの中身を一口飲んで、子ども達は顔を見合わせました。
 誰かが声をあげます。

「先生がくれたキャンディと、同じ味だ!」

 うんうん、とみんなその言葉にうなずきます。
 そして、カップをかたむけて、こくこくとホットミルクを飲みました。

 カップが空になると、子ども達はみんな笑顔になっていました。
 もう、誰も震えていませんでした。


 おしまい