「これはもう、生きているうちに一度は食べなきゃ損ですね!」


 はふっはふっ、と忙しなく口を動かしながら、花は目を爛々と輝かせた。

 薄皮に包まれた熱々のまんじゅうの中には、あんこが隙間なくぎっしりと詰まっている。

 見た目に反して甘すぎず、あっさりとした味わいの(あん)は滑らかで、優しい口当たりだった。


「今食べてるこしあんも最高ですけど、さっき食べたつぶあんもおいしかったです!」

「ふむ。よもぎや栗入りもあって、種類も豊富で食べたい味を選べるところもいいらぁ」


 ぽん太お馴染みの方言が出た。

 慣れっこの花は頷いてから大きな口を開けると、温泉まんじゅうを頬張り、ほっぺが落ちるのを押さえるように頬に手を添えた。


「はぁ〜〜。幸せ……」

「ほんと、花ってなんでもおいしそうに食べるよね」


 その様子を横で眺めながら苦笑したのは、包丁の付喪神の"ちょう助"だ。

 ちょう助は見た目こそ小学生男子の成りをしているが、実は料理の腕は一流で、つくもの料理長を務める頼れる存在である。