いい子を演じている私は、何色にでも染まれる。どんな自分でも演じることができる。
そうすれば弱い心を守ることができる。
けれど、仮面を剥いでしまえば、私の存在が消えると知っていた。
そしたらもう誰にも私の声は届かない。
誰にも見つけてもらえなくなる。
『……いい子でいれば、心が壊れずに済むから。私は自分を守りたいだけなの』
送ろうか送らないか迷った。
やっぱり消そうとも思った。
けれど、今画面に打ち込んだその二行が私の切実な思いだった。
誰かに聞いてほしかった。
ほんとはすごくすごく怖かった。
だけど、このSNSだけがあお先輩との唯一繋がっていられる場所。
ゴクリと息を飲み込んで、震える指先で投稿ボタンをポチッと押した。
あお先輩は、どう思うのかな。
こんなに重たい話をされて鬱陶しがられてしまうかな。
それともフォロー外されちゃうかな。
そしたらまた私の世界は、どこにも繋がらない一人ぼっちの世界に成り下がる。
しばらくしてピコンッ、と通知の音が鳴る。
私は緊張してすぐに画面を見ることができなかった。
すーはーと呼吸を整えたあと、緊張したおももちでタップする。
『自分の心を守るためにいい子を演じているなら、俺の前だけではありのままのななさんを見せてよ。そしたら全部受け止めます』
えっ……?
全部を受け止める?
ていうか俺ってことは、あお先輩は男?
一瞬わけが分からなくて思考が停止した。
瞬きを繰り返したあと、カチッと音がなって頭が働くようになると私はスマホに文字を打ちこむ。
『それってどういうことですか?』
投稿ボタンを押した。
どきどきと鼓動が疾走する。
すると、すぐに通知が鳴る。