美織ちゃんへ視線を向けて、

「美織ちゃん、あのブレスレット気に入ってくれてたの?」

おずおずと尋ねれば、

「うん! キラキラしててね、あおいいろがすっごくきれいだった!」

大興奮で声をあげた美織ちゃん。


「そっか…そっか……」


私は、俯いて、込み上げてきた感情を抑えるように手で口元を抑える。

美織ちゃんは決して、約束を守っていなかったわけではない。
私との約束を守って、そしてそれをとても気に入ってくれていたんだ。

全部、私の勘違いだったんだ──。


感情を落ち着かせて、顔をあげると、「ねえ」と美織ちゃんに声をかける。

「今度一緒にブレスレット作ってみない?」
「ぶれしゅれっと?」
「うん。どうかな?」


早苗さんの方を見た美織ちゃんは、目をぱちくりさせて、それを見た早苗さんは笑った。


「お姉ちゃんが一緒に作ろうだって。美織どうする?」
「キラキラしたのみおりもほしい!」


手を叩いて嬉しさを表現する美織ちゃん。
「ほしいほしい」と連発する。

その笑顔を見て、なんだか私まで気が緩んだ。


「じゃあ、今度一緒に作ろうね」
「うん!」

早苗さんに抱きついた美織ちゃんは、嬉しそうにはしゃいでいて。
素直によかったと、思った。


「七海」

いつのまにか私たちのそばにやって来ていたお父さんの声に顔をあげると、

「ほんとにすまなかったな」
「もう、いいって」

言いながら立ち上がると、

「私も、悪かったし」

気まずくて目線を逸らしながら言った。