「今回の涼に対してもそうでしたね。それから……」

言葉を切る俺に、まだ何かあるのかと問いかけるような視線を向けてくる。

「訛りの強い英語を話す、イーサンに対してもです。見かけた時は片桐さんが喚く場面だけでしたが、後からあなたも一緒になって彼を揶揄していたと聞きました。
それから、私の秘書の山形亜澄さんに対しても」

「山形、亜澄……」

彼女がハッとするのを見届けて続ける。

「神田さん、わかっていますね?今までお疲れ様でした。お帰りください」

悔しそうな表情を見せたものの、賢い彼女はこれ以上何を言っても何も覆らないと悟ったのだろう。
無言のまま、その場を去っていった。