ー13日目ー

「副社長。車の準備ができました」

神田さんと共に、パーティー会場へ向かう。
会場には、本当にパートナーとしてドレスアップした女性を連れている人もいたが、俺の半歩後ろに控える神田さんは、昨日警告した通り、秘書としての服装だ。

さすが、仕事ができる人なだけあって、俺の横でそつなく対応していく彼女。中には知り合いもいたようで、良い雰囲気で話も弾んでいた。



そろそろ帰るかと思ったところで、それは起きた。

俺の目の前に、髪は伸び放題で髭を生やした男がやってきた。身に付けている物こそちゃんとしているが、彼の見た目は誰もがこの場に相応しくないと思うだろう。

そう。彼のことを知らなければ……