「柳田、もういい。里崎さんには我々の言葉が響かないようだ。
里崎さん、我が社の信用をこれ以上落とすわけにはいきません。今日までお疲れ様でした。お帰りください」


観光業界ドンの孫、里崎舞香。
彼女は、里崎一族の孫の中で唯一の女性。いや、あの一族の中ではまだ〝女の子〟なのだろう。

祖父を筆頭に、甘やかされ放題で育ってきたのは俺でも知っている。
自分が欲しいと言えば、なんでも手に入ると思っているのだろう。

今回のことぐらいで彼女が変わることがないのは、最後までふてくされたまま去っていった様子からも明らかだ。
結婚相手まで、〝お祖父様〟にねだるつもりなのだろうか……






あと一人