翌日。

「柳田さん、里崎さん。社長がお呼びです」

これまでの2名同様に、責任を追求するという体で、柳田さんにも同席を促す。もちろんポーズだけで、柳田さんに何らかの責任を合わせることはない。

昨夜の今日で、里崎さんがどんな態度で現れるか。そもそも、出社すらしないのではないかと思っていたが、彼女はいつも通りギリギリになって出社してきた。明らかに不貞腐れているようだ。


「昨夜の報告は、副社長とお相手の国枝さんから聞きました」

里崎さんは、厳しい口調の社長にすら反応が薄く、不貞腐れた様子を隠そうともしない。

「たとえ、うちがもてなされる側だったとしても、あなたがとった行動は弁解の余地もないほどまずいものです。秘書の立場でアルコールを口にして、おまけに悪酔いして仕事ということすら忘れてしまうとは……国枝さんは笑って流してくれましたが、彼の中で我が社の信用はガタ落ちでしょう」

「悪酔いなんて、してませんけど」

とてもじゃないけれど、社長に対する態度ではない。柳田さんが慌てた様子で割って入った。

「すみません。私の指導が至らなくて。里崎さん、言葉遣いに気をつけてください」

そうたしなめられると、彼女はますますむくれていた。