ー8日目ー
この日の夜は、接待が入っていた。
今回はうちがもてなされる側だ。相手は取引先の社長、国枝さん。この度、ご子息が副社長に就任されたようで、その挨拶だった。
「いやあ、陽一さんに比べたら、うちの息子なんてまだまだです」
うちの社長も同席できればよかったが、スケジュール的に無理で、今回は俺が顔を出している。
社長はまだまだだと言うけれど、ご子息の恭平さんがなかなかのやり手であることは知っている。
「いえ、恭平さんの活躍ぶりはよく耳にしていますよ」
俺と歳が近いこともあって、こことはいい関係を築いていけそうだ。終いには、一緒に飲みに行く約束をするまでになっていた。
ここで余計な口出しをしてきたのが、同行した里崎さんだった。本当は山形さんにお願いしたいところだったが、仕方がない。彼女は諸事情で昼過ぎに早退していた。
国枝社長には、秘書でない者が同行することを秘密裏に伝えてある。ついでに、粗相をしそうだということも。
ユーモアのセンスのある国枝社長は、「面白そうだ」と里崎さんの同行を承諾してくれた。
「ええ!!お二人で飲みに行かれるんですかあ?舞香も連れて行ってくださあい」
ハッとして、彼女の座る前を見れば……秘書のような立場で連れてきたというのに、アルコールを口にしたようだ。と言っても、ビール一杯程度。おそらく〝ふり〟の要素が強いのだろう。甘えるように間延びする話し方に、イラッとする。
彼女はどうやらコンパニオンか何かのつもりのようだ。
この日の夜は、接待が入っていた。
今回はうちがもてなされる側だ。相手は取引先の社長、国枝さん。この度、ご子息が副社長に就任されたようで、その挨拶だった。
「いやあ、陽一さんに比べたら、うちの息子なんてまだまだです」
うちの社長も同席できればよかったが、スケジュール的に無理で、今回は俺が顔を出している。
社長はまだまだだと言うけれど、ご子息の恭平さんがなかなかのやり手であることは知っている。
「いえ、恭平さんの活躍ぶりはよく耳にしていますよ」
俺と歳が近いこともあって、こことはいい関係を築いていけそうだ。終いには、一緒に飲みに行く約束をするまでになっていた。
ここで余計な口出しをしてきたのが、同行した里崎さんだった。本当は山形さんにお願いしたいところだったが、仕方がない。彼女は諸事情で昼過ぎに早退していた。
国枝社長には、秘書でない者が同行することを秘密裏に伝えてある。ついでに、粗相をしそうだということも。
ユーモアのセンスのある国枝社長は、「面白そうだ」と里崎さんの同行を承諾してくれた。
「ええ!!お二人で飲みに行かれるんですかあ?舞香も連れて行ってくださあい」
ハッとして、彼女の座る前を見れば……秘書のような立場で連れてきたというのに、アルコールを口にしたようだ。と言っても、ビール一杯程度。おそらく〝ふり〟の要素が強いのだろう。甘えるように間延びする話し方に、イラッとする。
彼女はどうやらコンパニオンか何かのつもりのようだ。