この日、全国にホテルを展開している会社の副社長、下村がやってきた。彼は学生時代からの友人で、気心の知れた仲だ。

山形さんにお茶出しをお願いしたところ、やってきたのは小野さんだった。

おそらく、下村が入ってくるを見かけたのだろう。俺と同じ歳で、大企業の副社長を務める彼は、まるでアイドルのような顔立ちをしており、学生時代からよくモテていた。
まあ、性格は見た目と真逆なのだけれど。

「山形さんは？」

流そうと思ったものの、思わず聞いていた。

「今日は私の担当ですので」

ああ。曜日担当制か。〝小学生か！！〟と、思わず言いたくなるが、俺が言い出して決めさせたことだ。仕方がない。

が、やけに下村に媚びるような様子に、内心ため息をついた。
デスクに書類を取りに一瞬目を離したのは、意図的でもある。

小野さんが退室した途端、下村はおかしそうに笑い出した。