挨拶を終えて執務室に戻ろうとしたところ、あろうことか4人が俺の元に群がってきた。
ここは学校じゃないんだぞ。SHR後の休み時間か!!と、思わず苛立ってしまう。
けれど、ひとまず4人を諫めて、副社長室へ呼んだ。

横並びに一列に並ばせ、話をする。

「社長の方から、あなた方4名は、それぞれの父親ないし祖父から、うちで鍛えてやって欲しいと秘書課に入ったと伺っています」

〝鍛えて〟の部分を強調したからだろう。笑みを浮かべてはいるものの、若干引きつったのがわかる。

「秘書の仕事は、対外的な内容が多くあります。会社の顔として恥ずかしくないよう、しっかりと心構えして臨んでください」

4人とも笑みが薄れ、手をグッと握っている者もいる。

「そこでまず一つ。お小言のようで申し訳ないですが、香水が少しきつすぎます。外から秘書課に入ると、むせ返ってしまいそうでした。明日から香水はつけないか、ごく控えめなものにしてください」

不満そうな顔をしたものの、とりあえず4人とも頷いてくれた。