おそらく、柳田さんにも案はあったと思う。けれど、いずれにせよ、最終判断を俺に仰ぐはずだから、少々強引でも許されるだろう。

「秘書課の杉田が、半年ほどで退職の予定です。ですから、それまで陽一さんの秘書をお願いして、その間に正式な秘書を決めるつもりでいました。4名がいらっしゃったので、こうでもしないと揉めるかと思いまして」

柳田さんには申し訳ないが、親父の軽率な言動のせいで、やはりかなり負担をかけているようだ。

「その提案はありがたいです。他の課の者で、私の秘書にと考えている人がいるので、退職までの間に杉田さんに鍛えてもらうことにします」

「承知しました」

厄介ごとは何一つ解決してないけれど、とりあえず筋道は立てられた。
今のところ、それで満足しておこう。