明け方の始発を待って、バスに乗り込む。

それは郊外の、とある町へ向かっていた。

ひんやりとした朝の空気と冷たいシートに身を沈める。

駅へ向かうバスには人が押し込められているのに、駅から出るのには俺たち以外誰もいない。

停留所をいくつか通り過ぎて、ようやくバスを降りた。

俺たちは一言も口をきかなかった。

竹内はずっと隊長から渡された俺の端末をのぞいている。

そういえば彼が端末をみながら歩くのを見るのも、ひさしぶりだ。

竹内はうつむいたまま巧みに住宅街をすり抜け、迷うことなく歩き続ける。

俺は慎重に辺りを観察した。

雀が鳴いている。

近くにカラスはいない。

電柱を見上げる。

この辺りはまだ、地中化工事が進んでいないのか。

部隊管理のボックスを確認。

これは天命で発射出来る電柱種だ。

竹内とは急襲に備えた安全距離をとって歩く。

道路に消火栓のマンホールを見つける。

またあった。またここにも。

この辺りの消火栓密度は明らかに不自然だ。

間違いない。

この先に何かがある。

急に背に鳥肌が立った。

「なぁ、竹内。この辺は……」

ふいに、竹内は立ち止まった。

顔をまっすぐに上げる。

そのまま無言で指さした方角に目を向けると、周囲を消火栓と電柱ミサイル、妨害電波発生ボックスで完全武装したペットショップがそこにあった。

「当たりだな」

「どうする?」

これほどまでに完璧な防衛力を有した対象は初めてだ。

最新鋭の電波妨害装置。

何でもない住宅街の一室で電波受信が悪いのは、部隊の設置するこいつのせいだ。

カーブミラーまで2本もある。