天命が不安定な運営を続けている以上、アンドロイドの影武者を使うことは危険すぎた。
防犯カメラへの侵入も、カード決済の記録を照合することも、民間のネットワークを利用して出来ないわけではないが、天命経由と違って足のつく可能性もある。
俺たちは話し合った結果、一旦ゲームセンターの中に潜り込んだ。
竹内がかつて、侵入したことのある建物だ。
端末に残されていた記録を頼りに進む。
「あったぞ」
竹内は鍵穴に細長い金属の棒を差し込んだ。
ハンガーやヘアピンだなんて、古典的で個人のテクニックを要するようなものではない。
親指の指紋認証で使用許可を与え、鍵穴の形状を認識して解錠する形状変異合金だ。
「こういうのも、システムが本当にぶっ壊れてしまったら、使えなくなるんだよな」
使用した場所や回数は記録されるし、許可を取り消すことも簡単だ。
天命が混乱し不安定ないま、俺たちには何がどうなっているのか、それすらも分からない。
自分たちの出来ることと出来ないこと、許されることと許されないこと。
何がよくて何がダメなのか、「天命に許されている」という倫理基準が揺らいでいる。
手探りの進行は続く。
扉が開いた。
ゲーセンのバックヤードに潜り込む。建物の構造は、以前に消防局からダウンロードしていたデータから確認済みだった。
迷うこともない。
「あった、あったぞ!」
「あるのは分かってるんだ。さっさとしろ」
あらかじめUSBに仕込んであった内容を、竹内は侵入と同時にクリック一つで書き換えた。
これで勤務時間の操作も完璧だ。
俺たちは実働部隊としていくつかの任務をペアでこなしてきた。
息はぴたりとあっている。
今はそこに、いるべき人たちがいないだけ。
「行くぞ」
店内の監視カメラは停止させておいた。
俺たちはぎこちない動きのまま外に出る。
薄汚れたリスは振り返った。
防犯カメラへの侵入も、カード決済の記録を照合することも、民間のネットワークを利用して出来ないわけではないが、天命経由と違って足のつく可能性もある。
俺たちは話し合った結果、一旦ゲームセンターの中に潜り込んだ。
竹内がかつて、侵入したことのある建物だ。
端末に残されていた記録を頼りに進む。
「あったぞ」
竹内は鍵穴に細長い金属の棒を差し込んだ。
ハンガーやヘアピンだなんて、古典的で個人のテクニックを要するようなものではない。
親指の指紋認証で使用許可を与え、鍵穴の形状を認識して解錠する形状変異合金だ。
「こういうのも、システムが本当にぶっ壊れてしまったら、使えなくなるんだよな」
使用した場所や回数は記録されるし、許可を取り消すことも簡単だ。
天命が混乱し不安定ないま、俺たちには何がどうなっているのか、それすらも分からない。
自分たちの出来ることと出来ないこと、許されることと許されないこと。
何がよくて何がダメなのか、「天命に許されている」という倫理基準が揺らいでいる。
手探りの進行は続く。
扉が開いた。
ゲーセンのバックヤードに潜り込む。建物の構造は、以前に消防局からダウンロードしていたデータから確認済みだった。
迷うこともない。
「あった、あったぞ!」
「あるのは分かってるんだ。さっさとしろ」
あらかじめUSBに仕込んであった内容を、竹内は侵入と同時にクリック一つで書き換えた。
これで勤務時間の操作も完璧だ。
俺たちは実働部隊としていくつかの任務をペアでこなしてきた。
息はぴたりとあっている。
今はそこに、いるべき人たちがいないだけ。
「行くぞ」
店内の監視カメラは停止させておいた。
俺たちはぎこちない動きのまま外に出る。
薄汚れたリスは振り返った。