翌朝、俺がコンビニに出勤してきた時には、竹内はすでに仕事の鬼と化していた。

小型の壁面走行ロボットが無数に地下室を這い回っている。

天井も壁も自由自在だ。

彼らはその吸引能力によって壁に吸い付く。

それを改造したお掃除ロボットが、地下基地の内部をすっかりきれいにしていた。

実験道具類も全てドラフトチャンバーに放り込まれ、照射滅菌されている。

細かな実験器具の清掃用に開発されたロボット2台が、超純水装置で精製されたH2Oを順番に注ぎ、乾燥機に収納していた。

「全部、一晩でコード変更したのか?」

竹内はその指をキーボードに踊らせたまま答えた。

「まぁ、ちょこっと書き換えるくらいだから……」

ようやくこちらに顔を向ける。

その顔は元々やつれたような顔をしているので、本当にそうなのかどうかは、俺には分からない。

「そんなことより、頼みたいことがあるんだ」

竹内は俺を、司令台メインコンピュータの自分の隣に座らせる。

「これが、俺がとりあえず特定してみた飯塚さんのものと思われるログだ。この足跡を追ってほしい」

「そんなこと、本部でもやってるんじゃないのか?」

「もちろんそうだと思う。だけどな、世界にはあの飯塚さんの映像は、やっぱり国営放送のメインに潜り込み、デジタル動画そのものを無理矢理書き換えて変換したということに、気づいてる奴らがいる。今そこで巻き起こっているのは、動画そのものを差し込んだのか、動画のフレーム一枚一枚を書き換えたのかということだ」

「リアルに撮影されたか、フェイク動画かってことか。そんなもの、ファイル変換されていたら同質になってしまうのに、意味はないんじゃないか?」

「そうなんだけど、これを見てくれ」