「飯塚さんは、どうしてこの部隊に入ったんですか?」

「重人と一緒だよ。この世界と、その未来と希望を……って、なんか、言ってるこっちも、自分で恥ずかしくなってきたな」

「いえ、そんなことないです」

「何気ない日常を、大切に出来ればそれでいいんだ。たとえそこが、どんな場所であろうともね」

飯塚さんの言葉は、いつも物静かで穏やかだ。

上からもらってきた菓子パンをかじる。

多めに注文をかけても、発注システムが過去の販売実績からエラーを出してしまうのが厄介なところだ。

竹内は新商品のチョコラテを飲んでいる。

俺も目をつけていた最後のメーカー試供品を、一人で勝手に飲みやがった。

「おい」

「何だよ」

竹内は飲み終わったカップをゴミ箱に投げ捨てる。

「何で最後の一個を黙って一人で飲んでんだよ」

「テメーの分はもうすでに飲んだだろ。一人一個ずつは飲んだはずだ」

「だからさ、そういう問題じゃなくね?」

「クソが。何が言いたい」

ふいに警報が鳴り響いた。

地下基地の監視モニターは、コンビニ前の路上から水が噴水のようにあふれ出す様子を映している。

すぐに飛び出してきたのは、アンドロイドのいずみだ。

地下にいた本物のいずみは、すぐにリモートコントロールに切り替える。

「竹内くんは元栓を閉めて。私は水道局へ連絡を」

地下のいずみは電話をかけ、地上のいずみは立ち入り禁止の柵を立てる。