「で、これが終わったら潜水艦と戦車の操縦だ。安心しろ。難しい順に並べてあるから、ここさえクリアできれば他はすぐに何とかなる」
彼は賞味期限切れのフルーツ・オレを、ストローからチュっと吸った。
「さっさと始めるぞ。出動命令は待ってはくれない」
午前中はみっちり戦闘機の操縦訓練を受け、昼休みをはさんでからは部隊のシステムについてのレクチャーがあった。
「愛称は『天命』。誰が名付けたか知らんが、すんげー名前だろ?」
竹内はそう言った。
「だけどまぁ、そう名付けたくなった気持ちも分からなくはないんだ」
今日も飯塚さんはいない。
午前中にちょっとだけ俺の訓練の様子をのぞいてから、すぐに出て行ってしまった。
いづみは一人で黙々と何かを板金溶接している。
この「天命」とは、部隊が使用しているネットワークシステムのことだ。
日本国内のあらゆる情報網に侵入し、干渉することができる。
この天命の運用にあたっては、本部のなかでもさらに優秀な人材を集めた特任チームが、専門的に管理運営していた。
「ここの専門チームは異常だ。はっきり言って頭がおかしい連中しか集まっていない」
竹内は言う。
「俺も隊員の端くれだからな、普通に使ってるしハッキングもするよね。だけど、乗っ取りは出来ないんだよ。どうしてるんだ? 常にデータの一部を書き換えて更新中みたいな状態で、一定していないんだ」
「なんでハッキングすんの?」
「使用許可は隊員ごとに与えられ、履歴も残る。許可さえ下りれば自由にあらゆるシステムに侵入して、操作することを許してる」
竹内は悔しそうに唇を噛んだ。
「だけど、コントロールはできない」
「だからさ、なんでわざわざハッキングする必要が?」
「不安定なのに安定した運用、まさに『天命』という名にふさわしい」
なんかもう、どうでもよくなってきた。
彼は賞味期限切れのフルーツ・オレを、ストローからチュっと吸った。
「さっさと始めるぞ。出動命令は待ってはくれない」
午前中はみっちり戦闘機の操縦訓練を受け、昼休みをはさんでからは部隊のシステムについてのレクチャーがあった。
「愛称は『天命』。誰が名付けたか知らんが、すんげー名前だろ?」
竹内はそう言った。
「だけどまぁ、そう名付けたくなった気持ちも分からなくはないんだ」
今日も飯塚さんはいない。
午前中にちょっとだけ俺の訓練の様子をのぞいてから、すぐに出て行ってしまった。
いづみは一人で黙々と何かを板金溶接している。
この「天命」とは、部隊が使用しているネットワークシステムのことだ。
日本国内のあらゆる情報網に侵入し、干渉することができる。
この天命の運用にあたっては、本部のなかでもさらに優秀な人材を集めた特任チームが、専門的に管理運営していた。
「ここの専門チームは異常だ。はっきり言って頭がおかしい連中しか集まっていない」
竹内は言う。
「俺も隊員の端くれだからな、普通に使ってるしハッキングもするよね。だけど、乗っ取りは出来ないんだよ。どうしてるんだ? 常にデータの一部を書き換えて更新中みたいな状態で、一定していないんだ」
「なんでハッキングすんの?」
「使用許可は隊員ごとに与えられ、履歴も残る。許可さえ下りれば自由にあらゆるシステムに侵入して、操作することを許してる」
竹内は悔しそうに唇を噛んだ。
「だけど、コントロールはできない」
「だからさ、なんでわざわざハッキングする必要が?」
「不安定なのに安定した運用、まさに『天命』という名にふさわしい」
なんかもう、どうでもよくなってきた。