「データを保存して、解析にかけておけ。今日はもうバックアップだけとって帰っていいぞ。レポートは後日、早めに提出しろ」

それだけを言い残して、隊長は去って行く。

機動隊防護服の下から、スーツが現れた。

「どうした?」

「いえ、なんでもないです」

俺たちは最敬礼で、その背中を見送る。

隊長はまた別の何かを守るために、戦いに行こうとしている。

それはきっと俺たちが考えるものより、もっと単純で簡単で、やさしいものなのかもしれない。

広場周辺に並んだ支柱のような柱が、全てある一点に集中する角度で傾いていた。

もし都庁ロボが起動すれば、このミサイルでロボットごと破壊するつもりだったのだろう。

その何かを守るために、隊長の下した決断の後だ。

「あらやだ。かわいそうな人って、どこにでもいるのねぇ」

ワイドショーの場面が切り替わる。

鳥獣保護管理法で捕まったという男が報道されていた。

「自分の飼っていたカラスが襲われたからって、ハヤブサを傷つけたんだって。ひどいわねぇ」

飯塚さんは本部隊員の手によって逮捕された。

数ある罪状のなかから、公表するに選ばれたのが、これだったのだろう。

「でもきっとその人は、そのカラスを本当にかわいがっていたんだよ」

「だから『ひどい』って言ってるんじゃない。報道する必要ある?」

画面に映し出された名前が、本当の名前なのかどうかは知らない。

だけどそこに映っている飯塚さんの、年齢だけは真実のようだった。

「あ、お友達が来たわよ」

玄関の開く音がして、竹内は俺の隣にもぞもぞと腰を下ろした。

同じ事情聴取仲間がコンビニのバイト上司と知って、母が誘ったのだ。

その母は挨拶を済ませると、食事の準備のために席を立つ。

テレビは都庁爆破情報の、いい加減な内容に切り替わった。