一見、壁紙の継ぎ目にしか見えないラインがある。
俺は竹内を後ろに下がらせた。
壁の一部をコンコンと叩く。
これは仕掛け扉だ。
そもそもこの都庁自体が、巨大な忍者屋敷のごとく三層構造になっている。
壁の足元を軽く蹴ってみる。
下じゃないなら上だ。
俺は胸ポケットからメジャーのフリしたスティックを取り出すと、天井付近を叩く。
音が違う。
下に落ちないのなら横だ。
壁を押し込むと一部がへこんだ。
簡単に開けられないと思ったら、交差させ回転する仕組みだ。
斜め上にそっと滑らせる。
白い壁はぐるりと開き、ついに都庁ロボ操縦席は現れた。
「やった! 隊長に報告だ」
竹内が片手をあげる。
同じように手をあげると、それはパチンと合わさった。
操縦席に座ったとたん、指示が入る。
「都庁ロボを起動させろ。こちらが先に主導権を握る。向こうに起動され、コントロールされてしまう前に、操縦を覚えろ。万が一起動した場合には、手動操縦で押さえこめ」
無茶過ぎる命令にもほどがある。
確かに、操縦方法をチラリと見たことくらいはある。
だけどそれは、飯塚さんが書き換えてしまう前のものだ。
操縦桿を握りしめる。
「お前、分かるのか?」
「分かるわけないだろ」
とは答えたものの、竹内は迷うことなく電源を入れ、次々と計器を立ち上げる。
「旧式の操縦方法くらいは知ってる。隊長が送ってくれてたのを見てたからな」
言葉に詰まる。
竹内はそんな俺をにらんだ。
「ぶっつけ本番でやりながら覚えるのは、お前の得意技じゃないか」
フンという冷ややかな鼻息が聞こえる。
俺はヘッドセットを装着した。
「やれと言われたら、やるんだろ?」
「隊長、飯塚さんは?」
「03のことは気にするな。今は目の前のことに集中しろ」
プツリと通信は切られた。
「ホント、お前は人の神経を逆なでするのが得意だよな」
竹内はいつも俺に呆れている。
俺は竹内を後ろに下がらせた。
壁の一部をコンコンと叩く。
これは仕掛け扉だ。
そもそもこの都庁自体が、巨大な忍者屋敷のごとく三層構造になっている。
壁の足元を軽く蹴ってみる。
下じゃないなら上だ。
俺は胸ポケットからメジャーのフリしたスティックを取り出すと、天井付近を叩く。
音が違う。
下に落ちないのなら横だ。
壁を押し込むと一部がへこんだ。
簡単に開けられないと思ったら、交差させ回転する仕組みだ。
斜め上にそっと滑らせる。
白い壁はぐるりと開き、ついに都庁ロボ操縦席は現れた。
「やった! 隊長に報告だ」
竹内が片手をあげる。
同じように手をあげると、それはパチンと合わさった。
操縦席に座ったとたん、指示が入る。
「都庁ロボを起動させろ。こちらが先に主導権を握る。向こうに起動され、コントロールされてしまう前に、操縦を覚えろ。万が一起動した場合には、手動操縦で押さえこめ」
無茶過ぎる命令にもほどがある。
確かに、操縦方法をチラリと見たことくらいはある。
だけどそれは、飯塚さんが書き換えてしまう前のものだ。
操縦桿を握りしめる。
「お前、分かるのか?」
「分かるわけないだろ」
とは答えたものの、竹内は迷うことなく電源を入れ、次々と計器を立ち上げる。
「旧式の操縦方法くらいは知ってる。隊長が送ってくれてたのを見てたからな」
言葉に詰まる。
竹内はそんな俺をにらんだ。
「ぶっつけ本番でやりながら覚えるのは、お前の得意技じゃないか」
フンという冷ややかな鼻息が聞こえる。
俺はヘッドセットを装着した。
「やれと言われたら、やるんだろ?」
「隊長、飯塚さんは?」
「03のことは気にするな。今は目の前のことに集中しろ」
プツリと通信は切られた。
「ホント、お前は人の神経を逆なでするのが得意だよな」
竹内はいつも俺に呆れている。