長い一日を終えて、温かい高揚感に包まれながら、泥のように眠る。
 またあの夢だ、と思った。
 俺は百合の花が咲く丘の上で、寝転んで星空を見上げている。
 頬が冷たいような気がして手を当てて見ると、しっとりと濡れていた。
 俺、なんで泣いてるんだろう。
 怪訝に思う心とは裏腹に、唇は言葉を吐き出す。
『ずっと隣にいて守ってやりたい』
『こんな時代でなければ……』
『生まれ変わったら一緒になろう』
『絶対に、また君を見つけるから』
 そんな、まるで映画か小説の中の台詞みたいな言葉を、俺は泣きながら呟いていた。

 目が覚めたとき、思わず首を傾げた。
 どうしてこんな夢を見たんだろう。戦争の資料や、特攻隊員の遺書を読んだせいだろうか。
『君』というのは誰だろう。いつも夢に出てくるあの長い髪の女の子だろうか。
 でも、なぜか頭には、百合の顔が浮かんでいた。
 そんなはずはないのに、なぜだか俺はずっと昔から彼女を知っていて、ずっと彼女を探していたような、そんな気がするのだ。