《八月七日》
夏期講習からの帰り道。今日に限って自転車で塾に来ていた優也が、寄り道しようって言ってきた。
自転車で優也が連れてってくれたのは、学校の近くの高台にある公園。
今日は隣町の花火大会だったみたいで、優也は部活の友達から高いところに行けばうちの町からも見られるかもって情報を仕入れてきたらしい。
隣町の花火が見られるなんてあんまり信じられなかったけど、優也が絶対行くって言うし。仕方ないからついていった。
優也と交代で必死に自転車漕いで、坂道を登って。高台の公園まで着いたら、ドンドンッて花火の音が聞こえてきた。
テンション上がって、優也と一緒に見晴台まで走ったら、すごーく遠くに豆粒みたいな花火が見えた。
せっかく頑張って行ったのに、期待はずれでガッカリ。
でも、ひさしぶりに優也といっぱいしゃべって笑ったかも。なんか楽しかった。
最近の優也は反抗期なのか、あたしにはちょっと冷たいから。嫌われてないみたいで良かった!