《一月一日》
実家に帰ってきている優也に、初詣に誘われた。
地元の神社に行っておみくじを引いたら、びみょーな小吉だった。恋愛運のところに、過去にとらわれず進めば吉と書いてあった。
今まさにそんな状況だから、おみくじも案外バカにできない。
去年の終わりに、職場の先輩に結婚を前提に付き合ってほしいと言われて返事を保留している。
もうどうにかなる可能性はゼロなのに、誰かと恋愛しようとするといつも優也の顔がちらつく。
優也は夏に連れてきた彼女とまだ続いてるらしい。
職場の先輩のことを話したら、優也はいいじゃんって笑った。その笑顔が少し泣きそうに見えたけど、たぶん寒かっただけだ。
もしかしたら引き留めてくれるかも、なんて。少しでも期待したあたしはバカだ。
あたしと優也は家族。優也は今までもこれからも大切な弟。
だからもう本当に今度こそ、心を決めようと思う。