《十二月二十九日》
半年以上ぶりに優也が実家に帰ってきた。就職してからずっと忙しかったらしい。
社会人になってからはあたしも忙しくて、優也のことを考えることが前よりも減っている。
ひさしぶりに会った優也とも、家族みたいにふつうにできた。
もう大丈夫かもって思ったのに、優也があたしにブレスレットをくれた。ちょっとしたブランドの。
自分で稼げるようになったから、あたしの誕生日とクリスマスを兼ねたプレゼントだって。誕生日もクリスマスもとっく過ぎてるのに。
彼女にあげなよって言ったら、今はいないんだって言ってた。それを聞いて、ほっとしている自分が嫌になる。
せっかく優也への気持ちを忘れかけていると思ったのに、こんなのずるい。でも、すごく嬉しい。
ブレスレットは、一生大切にしようと思う。