庭の地面にノートを重ねて置いた祥が、ライターに火を灯す。


「本気で燃やすの?」
「うん」
「こんなの、よく何年も書き溜めてたよな。正直、重いわ」
「あたしもそう思う」

冗談交じりに笑う俺を見て、祥が泣きそうに笑った。

祥の持っていた三冊のノートに書かれていたのは、殆どが俺への恋心。

まるで十年以上分の想いが詰まったラブレターだ。

重いなんて言ったのは建前で、それを読んだ俺は本気で泣きそうだった。


「これを読ませて、結婚したあとも俺の心を繋ぎ止めようと思ったの?」
「違うよ。ずっと繋ぎ止められてたのはあたしなの。もう何年も」

そう言いながら、祥がノートに火をつけた。




パチパチと燃える炎が、ノートの端を少しずつ焦がして灰へと変えていく。

燃えていくノートを見つめながら、俺の気持ちまでが灰になっていくようで。胸が切なく苦しくなった。

祥は父親の再婚相手の連れ子で、同い年の姉だった。

最初はそれが嫌で仕方なかったのに、気付いたら祥のことが好きになってた。

気持ちが抑えきれないくらいにピークで好きだったのは高校生の頃で。つい勢いで告白したら、祥に「家族だ」って言われた。

その言葉に拒絶されたような気がして、実は結構傷付いた。

そこからは祥への気持ちを隠してきたけど、一緒に生活するのは苦しくて。大学で家を出た。

それでも、誰かと付き合っても。祥のことはずっと好きだった。こうしている今だって。