《二月十四日》
今日はうちに大量のチョコレートがある。バレンタインデーで、優也がたくさん持って帰ってきたからだ。
クラスメートや部活の子が大量生産して配った感じのものが多かったけど、何個か本命っぽいのもあった。
置きっぱなしにしてるからお母さんたちが食後につまんでた。本命っぽいやつくらい、ちゃんと食べてあげたらいいのに。
あたしもいちおうあげたけど、あんなにもらってくるならあげなきゃよかったって思う。
でも、あたしがチョコをあげたらちょっと嬉しそうにしてたとこは可愛かったかな。
優也は高校生になってから急にモテるようになった。中学の頃よりずっと背が伸びたし、黙ってたらクールでかっこよく見えるし。勉強も運動も結構できる。
みんなあたし達が姉弟って知ってるから、たまに知らない女子にまで優也との仲を取り持ってとか頼まれてめんどくさい。
優也がモテてると、なんか笑えるしムカつく。
家ではお菓子食べながらゲームして、だらだらしてるし、脱いだ靴下もそこらへんにほったらかしなのに。みんな、優也の本性を知らないんだ……!
本命チョコの誰かの告白、優也はオッケーしたのかな……。