特別、特別と繰り返されると本当に特別な気がしてくる。
 心なしか青い石が魅惑的に輝いているような。
 洋上生活が続いているせいで、おしゃれなんて無頓着になっていた。

「よし、買った!」

 海外の僻地への赴任手当で懐も温かいし、特に使う当てもない。これくらいのプチ贅沢は許されるだろう。
 お財布から取り出したお金と交換でそれを受け取る。

「アオハ、ウンメイノヒトニデアエルネ」

 男は私の買ったハムサに付いた青い石を指さして笑う。
 そして今度は田宮さんに別のアクセサリーを売ろうと、「コレ、オクサマ、ニアウネ」と繰り返している。
 いったいこの片言の日本語、誰が教えたんだろう?