差し出されたハムサはブレスレットになっており、銀細工の中に青い石がぐるりと一周するように付いていた。まるでこの石油プラットフォームのぐるりと囲む大海原のような色だ。


 私はそのハムサをじっと眺める。
 随分と古びているが不思議とみすぼらしさはなく、むしろ骨董品のような魅力があった。

「いくら?」
「ワンハンドレッドディナール」
「ディスカウントプリーズ」
「ノー。コレ、トクベツ」

 百ディナールといえば、この辺りで言えば破格だ。男はオウムのように「コレ、トクベツ」を繰り返している。

「どうしようかな……」