毎日のように見たアルフルダの熱の籠った視線を思い出し、夢だったことがちょっと残念、なんて思ってしまう。

「さあさあ、点検に行こうか」
「そうですね」

 私はうーんと腕を伸ばし、田宮さんと共に歩き出す。

「あれ?」
「え?」

 田島さんが私の手首を見て不思議そうな顔をする。

「なんかそれ、光った?」
「え?」

 私は左手に付けたハムサを見つめる。けれど、それは先ほどと変わらず、紺碧の石が嵌まっているだけだ。

「太陽に反射してそう見えたんじゃないですか?」
「そっか、そうだね」

 田島さんは照れくさそうに笑うと、頭をポリポリと掻く。