あの日、茫然自失で一面の砂漠を眺めていた私は、不意に背後から話しかけられてびくりと肩を揺らした。

「おい。ここで何をしている?」

 背後を振り返ると、そこにいたのはまだ若い男だった。砂漠の地方でよく見る、クーフィーヤという白い布を頭から被っていた。肌は少し浅黒く、こちらを見つめる瞳は黒曜石のような不思議な輝きがあった。

「何って、石油採掘ですけど?」

 私は咄嗟に答える。
 プラント業界ではまだ私のような女性技術者はほとんどいないから珍しいのだろう。

 私は自分がこのプラットホームの一員であることを示すように、はっきりとそう言った。