「あ、あの」
 言いかけた僕の言葉を待つように、
「ん?」
 ゆずきがちょっとだけ首をかしげる。
 彼女がよくやる癖だ。
「ここ、いいとこだから」
「え?」
「この学校も、この街も」
 そんなことを、なんだか無性に言いたくなった。
「うん! 楽しみ」
 ゆずきが大きくうなずく。
「演劇も面白いよ」
「途中からでも入れるかな?」
「もちろん」
 僕も大きくうなずき返す。
「そっかあ。だったらやってみたい!」
 この点は、目の前の彼女と、過去のゆずきとで違うようだ。
「ずいぶん積極的だね」
「えー、そうかな?」
「そう見える」
「だとしたらたぶん、藤井くんのおかげ」
 藤井くん――か。
 コウくんじゃなくて。