『まだまだだけど……でも、いい舞台にしたいから頑張る』
 君はほんとに素直な子で。
『コウくんが労わってくれて、うれしい』
 やっぱり君は……ゆずきは笑顔が似合う。
 そうして文字通り大舞台の大役をやり遂げた君は、真っ先に僕のもとに駆け寄ってくれた。人目もはばからずに。
『ねえ、どうだったかな』
『感動した。ほんと、頑張ったね』
 僕が君の頭を撫でると、君はすごくうれしそうにして――。


 ゆずきは僕の前から決して消えない。


 打ってから、思いとどまってその一文を途中まで消した。
熱いものが次々と溢れ出してどうにも視界がおぼつかない。
もう一度、ゆっくりと、短く、今度は別の言葉を打ち込む。
代わりに書き換えた、その文は――


 ゆずきは自由だ。


僕の腕の中から、彼女は消えた。