同じ並木道、ふたりでとった初めてのツーショット写真。
『もうちょっと寄ってみる?』
僕は緊張で振り返ることもできなかった。
触れる君の頬にすごくどきどきして、でも、うれしかったなあ。
『ゆず、そこケチャップついてる』
『えー、どこどこ』
『ほら、そこ』
『きゃーはすかしー。でもおいしい!』
君はほんと、とても幸せそうに食べる子で。
『じゃあ、じゃあ、わたしもコウくんに贈るね』と、花柄のキーホルダーをふたつ手にして、『これでおそろだね』ってはにかんで。
『コウくんにも事故のこと、ちゃんと話しておきなさいって言われたの』
『だれに?』
『お母さん』
君は僕に、心の内を話してくれた。
『わたしもね、コウくんには知っておいてほしかった』
僕はどれだけ君に自分のことを伝えられただろう。
『ゆずも、ヒロインやってみたいの?』
『え、え、ちがうよ! そんなつもりじゃないの!』
君にヒロインを演じてほしいのは、僕のほうだった。
『ほんとに? ほんとにわたしでいいのかな』
顔を赤くしてうろたえた君は、それでもみんなの期待を感じて、
『とにかく一生懸命やってみます。至らないばかりだと思いますが、どうかよろしくお願いします』
と言って頭を下げた。