そこにつながりがあったとは。全然気づかなかった。
いや……、そういえば一度だけ、あった。
まだゆずきの実体が現れる前。
体育館倉庫での、楓との会話。
『誰から聞いた』
僕の、次回公演脚本落選の報を楓は知っていた。
『いや、ちょっと、知り合いからな』
こいつは、今日の舞台も“知り合い”に誘われたと答えた。
そうか、そうなんだ。カノジョのことを知り合いって呼ぶわけか。
ただ……。
よくよく思い出してみてば、あのとき楓、僕のことを励まそうとしてきたんだよな。だいぶぎこちなかったし、ちょいちょいこっちの神経逆なでしてきたけど。
――あれは全部、一穂からの頼みだったのかも……。
もともとふたりは付き合っていて、ゆずきが出現してからもその関係は変わりなく続いているんだろう。
目の前の楓が、なんだか楓じゃない、別の男に見えた。
「一穂は大丈夫だから。心配すんな」
楓は僕じゃなくて、ゆずきに言った。
「うん、そうだよね」
ゆずきも楓を見つめ、大きくうなずく。
「楓くんがいるんだもんね」
なんだそれ。
さっきの茂みの中でもそういう相談をしてたのか。
僕はそこには入り込めないんだな。
と、そのとき――。
「珍しいね、そのスリーショット」
背後から声がした。
振り返ると、一穂だった。
いや……、そういえば一度だけ、あった。
まだゆずきの実体が現れる前。
体育館倉庫での、楓との会話。
『誰から聞いた』
僕の、次回公演脚本落選の報を楓は知っていた。
『いや、ちょっと、知り合いからな』
こいつは、今日の舞台も“知り合い”に誘われたと答えた。
そうか、そうなんだ。カノジョのことを知り合いって呼ぶわけか。
ただ……。
よくよく思い出してみてば、あのとき楓、僕のことを励まそうとしてきたんだよな。だいぶぎこちなかったし、ちょいちょいこっちの神経逆なでしてきたけど。
――あれは全部、一穂からの頼みだったのかも……。
もともとふたりは付き合っていて、ゆずきが出現してからもその関係は変わりなく続いているんだろう。
目の前の楓が、なんだか楓じゃない、別の男に見えた。
「一穂は大丈夫だから。心配すんな」
楓は僕じゃなくて、ゆずきに言った。
「うん、そうだよね」
ゆずきも楓を見つめ、大きくうなずく。
「楓くんがいるんだもんね」
なんだそれ。
さっきの茂みの中でもそういう相談をしてたのか。
僕はそこには入り込めないんだな。
と、そのとき――。
「珍しいね、そのスリーショット」
背後から声がした。
振り返ると、一穂だった。